第33回 どんなに怖くたって目を逸らさないよ 全ての終わりにアイがあるなら

ここ数日、Twitterがエヴァの文字で埋め尽くされています。

エヴァってなんなのよ!

『デスパレートな妻たち』のおとぼけエロ主婦、ガブリエルを演じてるロンゴリアさん?

それもエヴァ!

『お笑いマンガ道場』のおまけコーナーで、だん吉さんの初代お相手役だった、ゴールデンハーフのメンバー?

それはエバ!

といちいちミサト口調やリツコ口調でボケるくらいに、

アタシも、本当にエヴァンゲリオンが大好きなんですよぉ。

でも映画が公開された週末は女装仕事地獄だった。

ガフの部屋は空っぽだった!(もうええわ)

そんなわけでいまだにQが観られていないままに、宇多田さんの新曲を聴きながら、この原稿を書いています。

♪もし今の私を見れたならどう思うでしょう

女装仕事で生きてる私を

(過去のオトコたちへの個人的問いかけ)

てか、この2丁目ポータルな連載でなぜにエヴァを語るのか。

実際、あまりにエヴァツイートが頻出したせいか、何人かからの「ゲイってエヴァ好きなの?」という素朴な疑問つぶやきも見かけました。

もちろん、

シンジくんとカヲルくんのBL要素、

とか、

体育会系トウジと、ちょい悪オヤジ(なつかし単語)加持さんはゲイ受けキャラ、

とか、

わかりやすい萌えフックもあります。

さらにアタシ的には、

世界の命運を握るスーパーコンピューターの管理運営担当という理系才女でありながら、金髪に真っ赤なルージュ、白衣の下はボディコンファッションに黒ストッキングという、全身でドスケベを表現していた赤木リツコさんが、たまらなくツボでした。

オヤジ上司から母娘丼をされ、オトコと心中しようとしたら母の遺志に裏切られる、アニメとは思えないドロドロ設定もスゴイし。

でも、なんといってもエヴァが、オタク用語で言うところの「セカイ系」、主人公の個人的な葛藤が世界全体のお話になっている、という点がもっとも重要なのではないでしょうか。

14歳のうじうじした少年をとりまく、小さな人間関係が、そのまま地球の存亡に関わる大げさな話になっている設定は、いかにもアニメ的だと言えますが、つまりそれは青臭いアイデンティティーの物語。

そう、LGBTが何かを語る時に、欠かすことのできない「アイデンティティー」というやつが、エヴァの主題なのです。

LGBTの社会運動にも大きな影響を与えている、1960年代の女性の権利運動から、こんな言葉が生まれました。

The Personal is Political

個人的なことは、政治的なこと

結局のところ、社会は個人の集まりでできているのだし、その個人が抱える問題の総和(単純な足し算ではないけれど)が、政治的な流れを作っていく、というのは納得のいくところです。

アタシという人間に、チンコがついていて、他人のチンコにも興奮してしまったという、ごく個人的なチンコ問題(チンコ連呼)が、同じだったり似ている想いを抱えている個人たちと絡まりあう。

そういう声があがり拡がることで、たとえば先日のオバマ大統領再選時の演説のように世界の大国の長が人類史上初めて、大事な国民として「ゲイ」という存在を明言するようになるんですから。

「アタシが同性好きだなんてことは、堂々と人様に言うべきことではないわ」という日本人的な慎ましさをいちいち責めることはありませんが、

「実は同性が好きなんだよね」という個人的な声が出てきたことで、そういう政治が生まれるし、そういう人もいる前提の社会になる。

自分一人が何かしたところでどうにもならないって、

イヤな世界から耳をふさいで閉じこもるシンジくんのことを、

「あんたちょっと何いじけてんのよ。しのごの言ってないで、とっとと使徒やっつけないよ!」

とついつい画面に発破をかけてしまう、さあカタつけてよと思ってしまうアタシですが、

この苛立ちは、自分自身の抱える問題をあきらめがちな人たち全てが、自分を重ねて感じているものなんでしょうね。

人はそれぞれ違う。

地球の上では国と国が揉めるし、国の中では政党と政党が揉めるし、

LGBTの中でも揉めるし、ゲイの中でも揉めるし、女装の中でも揉めるし、

自称ガチムチの育ちすぎたオッパイも揉める(そして悦ぶ)。

揉めるくらいなら、みーんな、一つになっちゃえばいいのに!

それが人類補完計画です。

それぞれが主張して否定し合う世界に絶望したシンジくんが一度は望んだ、みーんな溶け合った世界。

でも、カラフルな絵の具を全部混ぜると、エグいドドメ色になっちゃうの。

虹が美しいのは、いろんな色がそれぞれに輝いて共存しているから。

ところが、やっぱりそれぞれの「自分らしさ」でいようよ!と思い直し、

個と個に離れてみると、今度は、また理解できない他者への拒絶が始まり

「気持ち悪い…」と言われてしまうのよね。

確かにこの、バカボンのパパと同い年41歳のホモのおっさんは、昼間から女装してシモネタでウケ狙ってたりして、本当に気持ち悪い。

でも、それがアタシ。

この気持ち悪い個人が思うことの一部は、他の一部のゲイの皆さんと重なったり、一部のLGBTの皆さんと重なったり、一部の女性、日本人、地球人の皆さんと重なるはずなのです。そして、その重なりとうねりが政治や社会になるの。

重なるのはしょせん一部だから、違う面からは拒絶もされるし、それは正直怖いこと。

でも、アタシにはアタシの気持ちを語ることしかできないんだもの。

2丁目の中心でアイを叫ぶしかないんだもの。

いきなさい!シンジ君!

誰かのためじゃない!

あなた自身の願いのために!!

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