第135回 おすすめ美術展「ニキ・ド・サンファル展」

六本木の国立新美術館で開催中の「ニキ・ド・サンファル展」に行ってきました。
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素晴らしい企画展でした。
これが日本で見られるなんて、本当に貴重な機会!
アーティストの背景を知る上で重要だと思う点の一つが、ニキ・ド・サンファル(1930年〜2002年)は11歳の頃に実父から性虐待を受けているということです。
私も幼い頃、実父から性虐待を受けて育ちました。
子どもの頃に性虐待に遭うということは、すさまじく恐ろしい体験です。絶対に子どもへの性的暴力を許してはいけません。性虐待は確実に人間のある部分を破壊して、大人になってからも恐ろしい悪影響が出ます。性虐待のトラウマからの回復は、並大抵のことではありません。
ニキの背景を知ったときから、彼女の作品への興味が尽きませんでした。
こちらは、私がニキのことを知ったオススメの本です。
『発情装置―エロスのシナリオ』上野 千鶴子著(筑摩書房)
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ニキは23歳の頃に「精神衰弱」で南仏ニースの病院に入院。そこでアートに出会います。
カラフルで躍動感があり、力強い女性像のナナ。今回の企画展のメインビジュアルにもなっていて、とても有名で人気のある作品です。
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しかしナナ時代以前の、ニキ・ド・サンファル初期の作品は、暴力や怒りに溢れています。
じっと作品を見つめていると、簡単に心の闇の方へひきずり込まれてしまいそうになります。
不安、怒り、痛み、傷み、暴力。
激しく暗い作品が続き、対峙するのにとてもエネルギーがいります。
一緒に行ったひろこさんは、「ごめん、直視できない…」と何度か言っていました。
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NHK Eテレ「日曜美術館」「カラフルな闘い ニキ・ド・サンファル」より
日曜美術館で予習してから観に行きましたが、この「赤い魔女」という作品にも言葉にできない情念の渦のようなものを感じました。ぜひ体験してみてほしいです。
ニキは、彼女の作品群「射撃絵画」についてこう語っています。
「私はダディーを撃った。そして私自身を撃った」
性虐待の被害を受けた少女には、なんの罪も責任もないはずなのに、自分自身をも撃たなければいられなかったのでしょうか。私は「スウェーデンのテレビ番組のための射撃ースウェーデンのテレビ番組におけるセッション」という作品の前で、涙が流れました。
そして、展示はナナへと続いていきます。
怒りに満ちた作品から、自由な女性像のナナへ。展示を追っていくと、作家の人生にも順に触れられて、その回復していく奇跡に、感動を覚えます。
そして、精神世界を表現する晩年の作品には圧倒されます。
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ニキの仏陀と対峙する私
イタリア・トスカーナ地方にある「タロット・ガーデン」にもいつか絶対に行ってみたい!
(詳しくはこちら
保存のため、4月〜10月の間の、1日に数時間しか開園しておらず、なんとガイドブックにも載っていないそうです。あぁ! 絶対に訪れたい!!
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展示を見終わった直後、公式図録に夢中になる私
家族関係に葛藤を抱える方(葛藤がない人の方が少ないとは思いますが…)、女性、そしてとくに性虐待や性暴力を受けた人には、ぜひ見てほしい展示です。
ニキは作風の変遷について「コインの裏と表のようなものよ」と語っていたそうです。
闇を見続けるか、愛を見るか。
終始ニキから「あなたの中にある可能性にもっと気づきなさい」と語りかけられているようでした。
ニキ・ド・サンファル展は、六本木の国立新美術館にて、12月14日(月)までの開催。
音声ガイドは女優のりょうさん。520円で受付で借りられます。こちらもおすすめですよ!
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昨年、実父からの性虐待の体験と回復について書いた本を出版しました
《おまけ情報》
以前住んでいた国立市のお隣、立川駅近くにニキ・ド・サンファルの作品があるんです!
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私も立川のIKEAに行く道すがら作品を見ていました。街の中に溶け込むアート。素敵ですね。

 

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