第34回 昨日失敗したからって、今日のセックスを台無しにしない

 

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セックスが失敗に終わったことなんて山ほどある。肝心なところで緊張してしまってへにゃりと萎えてしまったこともあれば、綺麗に洗えたと思ってたのに相手にチョコバナナをプレゼントしたこともある。思い出す度に恥ずかしすぎて顔から火が出そうになる経験がいっぱいだ。いろんな意味で穴があったら入りたい。今だから笑って話せるが、そのせいで本気で落ち込んだこともある。

「もうセックスなんてしたくない!」

失敗があれば必ず、この考えが頭をよぎる。あんな恥ずかしい思いをするくらいなら、一人でオナニーしてた方が全然いい。アダルトビデオの前ならどんな失敗だって許される安全地帯だ。そんなビデオの中で完璧にセックスをするアダルト俳優たちに釘付けになりながら、セックスが下手な自分に対して劣等感が募った。慰めにもならない。

セックスが大好きな自分がそんな宣言を守り通せるはずもなく、ムラムラすればまた次のセックスに手を出した。しかし、過去の失敗はストーカーのようにこっそり後ろから付いてくる。「またあんなことになったらどうしよう」という不安となって襲ってくる。いくら振り払ってもなくならない。セックスの最中、そんなことに気を取られていれば、すべて台無しだ。そうしてまた次の失敗を招く悪循環となってしまう。

いつか、アダルトビデオの撮影現場を見学させてもらったことがある。カメラや周りの視線も気にせず、イケメンの男優たちは慣れたようにスムーズに腰を振っていた。ところが、フィニッシュのシーンで射精ができずに撮影中断となった。期待に応えられなかったその男優は30分休憩して、またセットに戻った。彼の顔には自信が戻り、タイミング通りに相手の男優の顔にどろりとぶっかけた。さっきの失敗なんてなかったかのようだった。編集された製品版ではきっと完璧なセックスになっているのだろう。

以前にセックスで失敗をしたからって、次のセックスでも失敗するとは限らない。同じ人と、同じ場所で、同じ時間帯に、同じようなセックスをしたって、結果は毎回異なってくる。最高に気持ち良いときもあれば、大失敗なときもある。その瞬間ごとに、また違う可能性が隠れている。それが人間というものだ。人間はロボットのように完璧に物事をこなせない。完璧を期待すればするほど自分を追い詰めるだけだ。

セックスは、その度に新しい1ページだ。本と同じように、過去の経験は既に読んだページたちで、今読んでいるページは今のこの瞬間だ。もちろん、昔の経験はそこに受け継がれている。しかし、過ぎ去った経験に今を決める力はない。昨日の自分と今の自分は違う。今この瞬間を決めるのは、今の自分だ。過去の失敗も成功も踏まえて、その未知の一歩を踏み出してしまえばいい。昨日うっかりチョコバナナしたからって、今日ネコできないなんてもったいないじゃない。

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