第123回 百合百合しい西洋絵画ベスト5

 

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ごきげんよう。百合、足りてるかしら?

まきむらよ。

百年以上前にも、百合は咲いていたのです。連載「まきむぅの虹色NEWSサテライト」、今回は女の子と女の子がふたりでうふふな感じの西洋絵画を5点ご紹介します。


★ロートレック「ふたりの女ともだち」
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トップバッターはフランスの画家、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864~1901)による「ふたりの女ともだち(Les deux amies)」。

ロートレックさんは女性ふたりでワルツを踊るようすや、腕組みする女性たちの絵なんかも描いていて、現代日本に生まれていたら百合同人誌とか描いてくれてたかなあと私は期待してしまいます。

ちなみにロートレックさん、コスプレ好きでも有名でした。

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(写真:Wikimedia Commmons, 1887年)

 


★エゴン・シーレ「恋人たち」
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続いては、エゴン・シーレ(1890~1918)の作品です。

エゴン・シーレは若き日のアドルフ・ヒトラーと同じ美術学校を受験していましたが、合格したのはシーレだけでした。

抱き合う女性同士の絵を遺して、シーレは第一次世界大戦の終わりとともに亡くなってしまいます。その後の第二次世界大戦を通じ、画家になれなかったヒトラーが多くの同性愛者を強制収容所送りにしたのは、今も忘れがたいことですね。


★ソロモン「サフォーとエリナ ミティリニの庭で」
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ラファエル前派の画家、シメオン・ソロモン(1840~1905)。彼もまた、多様な性のあり方を描いた画家でした。

ソロモン自身も同性の恋人とラブラブ同棲生活を送っており、お相手はなんと貴族階級のドS詩人・スウィンバーン氏。

貴族・スウィンバーン氏は、年下の貧乏画家だったソロモンに対し、自作のSM同人誌に挿絵を描かせるという高度なプレイをおやりあそばされるなどしていました。まさに貴族

この「サフォーとエリナ」で描かれているふたりもまた、古代ギリシャの女性詩人同士で、おそらくは恋愛関係にあったと考えられます。19世紀のヨーロッパでは、いちゃいちゃしている女性同士を「百合百合しいよね」とかじゃなくて「サフォーっぽいよね(sapphic)」と表現していました。


★マエル「おねがい神様、男をちょうだい」
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こちらは、挿絵画家マルタン・ヴァン・マエル(1863~1926)の作品。

エロティックに絡み合う女の子ふたりに、「男をちょうだい」なんてタイトルをつけるセンス、「これだから男って勝手よね!!」「男の妄想をレズビアンに押し付けないでよ!!」って思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも、ちょっと待って。このタイトル、とってもフランスらしい遊び心が隠れているんです。

フランス語で「男」は「mâle(マル)」、「悪い・痛い・間違ったこと」も「mal(マル)」という発音になります。つまり、表向きは「男をちょうだい」って従順になってみせながらも、裏では「男の子なんてつまんない。こっちのほうがいいわ」って抱き合う女の子同士のことを、「“マル”がほしいわ」って言わせることでうまく表現しているんですね。

フランスでは1750年ごろまで同性愛者が処刑されており、その後も同性愛嫌悪をキリスト教信仰で正当化しようとするような価値観が主流でした(=「同性愛は神の意思に反する」的な)。なので、女の子同士のセックスシーンに神への祈りみたいなタイトルをつけるっていうことは、異性愛中心主義にもキリスト教中心主義にも両方疑問を呈するような行為だったってわけですね。

さて、そんなロックな画家さんは、マエルさんだけではなかったんですよ。


★クールベ「ル・ソメイユ(眠り)」
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最後はこれまたフランスの画家、ギュスターヴ・クールベ(1819~1877)の作品です。

クールベは、美術がまだお金持ちのモノだった時代に、「そんなんおかしいやろ」と噛みついていった反骨精神あふれる画家です。

クールベ伝説まとめ

・まんこのドアップを描いた絵に「世界の起源」というタイトルをつけて発表
・パリ万博に落選したと知ると、パリ万博会場の近所に小屋を建てて勝手に個展を始める(入場料も取る)
・著名人や神話の人物しか絵画に描かれないことに疑問を持ち、無名の一般人の葬儀をものすごい大作絵画に仕上げる

寄り添って眠る女性ふたりの絵を、クールベがどんな想いで描いたのかは私にはわかりません。ただ、この画家のまなざしはきっと、「取るに足らないということにされるもの」に注がれていたのでしょうね。あたたかく、やさしく。


ということで、5作品を紹介してまいりました! 読んでくださってありがとうございました。また来週金曜日にね! まきむぅでした◎

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