第18回 LGBT団体と税金

こんにちわ。LGBTフレンドリーな会計事務所、税理士の上村大輔です。……っていつも自己紹介で付ける「LGBTフレンドリー」、当事務所でこのコンセプトを打ち出してもうすぐ1年に。おかげ様で最近、LGBT関連の企業さん、団体さんからのお問合せが増えてまいりました。という訳で、今回はLGBT関連の団体(主に、儲けを目的としていない非営利的な団体)について、税金の面から見ていきたいと思います!

1.団体にはどんな税金がかかるの?
f6a2145a055aa70b9c0d82375ef223df
非営利的なLGBT団体と一口にいっても、仲間づくり、政策提言、自助グループ、イベント開催など、その活動内容はさまざまです。そしてその「器」にも、いろいろな形があります。最初は、人が集まって活動をするサークルのような「任意団体」から始まるケースがほとんどです。そして、だんだん活動の規模が大きくなり、組織っぽくなってきたりして動くお金の額も大きくなると「法人化」を検討するところが多いですね。その際、選ぶ法人の種類によって、同じ活動でも税金の額が変わってくることがあります。

そもそも税金(団体には「法人税」がかかります)というのは、何らかの活動をして、儲けが出た場合に、その儲けに対してかかるしくみになっています。具体的には、収入から経費を引いた利益に。この大原則は、個人と法人の中間のような「任意団体」でも同じです。ただし、非営利的な活動をしているのだから、それは本来、行政が行うべき内容ともいえるので、税金を優遇しましょう、という措置が取られています。具体的には「収益事業(しゅうえきじぎょう)」と定められた34の事業から生じた利益については税金がかかるけど、それ以外の事業については税金を免除するというルールがあります。

34事業についてはこちら(国税庁ホームページ:「第15章」参照)

これらの恩恵を受けられるのは、任意団体(人格のない社団等)、NPO法人(特定非営利活動法人)、一般社団法人(非営利型)などです(この他にも公益社団法人、公益財団法人なども受けられますが、その設立はとても敷居が高いので割愛を……)。

これらの団体では、例えば、寄付金や会費の収入には税金がかかりません。また、非営利的な事業を実施するために獲得した補助金・助成金も税金の対象外になります。また、法人には毎年赤字でも必ずかかる法人住民税の均等割という税金(東京都の場合、年間7万円)があるのですが、それについても収益事業を全く行っていない団体であれば、減免される措置があります(一般社団法人は減免なし)。

一方、営利的な法人格といわれる「株式会社」「合同会社」「一般社団法人(営利型)」については、収益事業かどうかを問わず、全ての収入に税金が課されます。たとえ寄付や助成金をもらったとしても。

これまでの話をまとめると、ざっくりとですが、下記の図のようになります。
a87d5b4e4b87af54d3d3a2c212a68b13

2.それぞれの法人格の特徴は?

ここまで、いろいろな法人格と、税金がかかる範囲を見てまいりました。これだけあると、どれを選んで良いか分からないですよね。超ザックリとですが、それぞれの特徴を見てみましょう。

(1)NPO法人
NPO法人の設立には、所轄庁(主たる事務所のある都道府県庁)から認証(にんしょう)される必要があり、たとえば活動内容が特定の個人や法人の利益になるような事業と判断された場合など、はじかれてしまう事もあります。また、設立後もいろいろなルールがあります。たとえば社員(会員)の加入に制限をつけてはいけないので、ちょっと入ってきて欲しくないタイプの方(笑)が来ても拒むことができないですし、毎年、事業年度終了後3ヶ月以内に事業報告書・財務関係書類を所轄庁に出さなくてはならず、これらの書類は所轄庁のホームページで公開されます。とはいえ、設立時にかかる登録免許税などの税金も免除されますし、さらに一定の条件を満たした「認定NPO法人」になると、団体に寄付をした人が税金の控除を受けられたり、収益事業の収益だとしても一定額までは税金がかからない「みなし寄付金」というものすごい規定が適用されるので、やはりメリットはとても大きいですね。

(2)株式会社・合同会社
それに対して、株式会社・合同会社は、簡単に設立できるのが大きなメリットです。また、活動内容に縛りはないですから、メインは社会貢献的な事業だとしても、寄付や会費中心ではなく、しっかり稼いでいくビジネスをしたい方にはオススメです。決算書類は、「公告」という形で公開することが株式会社には義務付けられていますが(合同会社は義務なし)、実際は中小企業だとあまり公開していないのが現状です。ちなみに、昔あった「有限会社」は現在では新たには作れないようになっています。

(3)一般社団法人
そして両者の中間的存在として最近増えているのが「一般社団法人」。会員を募って活動する場合に向いているといわれていますが、実際は活動内容に制限はありません。こちらはさらに、「非営利型」と「営利型」の2つに分けられます。非営利型は「非営利性が徹底されている」等の要件はありますが、NPO法人よりは設立がしやすく、収益事業だけの課税になります。

一方、営利型は、税務上は、株式会社・合同会社と全く同じで、すべての収入に対して課税されます。それでも、一般社団法人は、世間一般ではなんとなく非営利っぽい響きがあるようで、事業内容によってはイメージが良くなる場合があります(実情に詳しい人の中には逆に怪しい!? と思う人もいるかもしれませんが笑)。

3.結局どれがおすすめなの!?
75dcf8aa0be28a6ca948df74aeef4053
それぞれの団体の考え方によりますが、個人的にオススメなのは、設立が簡単、スピーディで、その後の使い勝手(?)も良い「一般社団法人」です。実は私も、税金について楽しく学ぶ出版物やセミナーを開催する一般社団法人を設立しています(あんまり活動していないけど……)。設立には最低2名が必要ですが、株式会社よりも設立費用が安くすみますし、条件を満たして「非営利型」にできれば、収益事業だけに課税というメリットも享受できます。その他、合同会社も最近増えているようです。その設立費用の安さも人気の理由でしょうか。合同会社や株式会社の場合は、その性質上、社会貢献活動をやりながら収益も上げていく、いわゆる「社会的企業」になっていくのかなと思います。これは、団体の継続性の面からも、社員のモチベーションの面からも、結構いいんじゃないかと、個人的には思います。

いかがでしたでしょうか。LGBT団体さんで法人化を検討しているところは、ぜひ色々と調べてみてくださいね。

かみむら会計事務所では、LGBT団体の税金に関するご相談なども承っております。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。お問い合わせ内容に「2CHOPOを読んだ」と記載いただけるとスムーズです。

 

Top