Vol.1 Walk Of My Life

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初めまして。今回から2CHOPOで連載を始めるJesusです。

LGBTの問題を抱えていたり、LGBT当事者に深く関わっている方々の見えている世界をありのままに伝ええていければいいなと思っています。

第一回目のゲストは現在、歌舞伎町にあるニューハーフクラブ「ミラージュ」というお店で働きながら日々ネット配信などで人気を博しているひなのさんに今回はインタビューをしてみました。

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Q.まずはこれまでのひなのさんの生い立ちの教えてください。
私は奈良県で生まれも育ちも奈良です。18歳までそこで過ごした後に大阪に単身飛び込みました。それまでは男としてずっと思春期を過ごしていたんですが、自分が何者なのかはあまり意識してなかったです。奈良の田舎で何の情報もなく育ったのもあって自分が同性を好きだと確信したのは携帯もらった時の高校生の時でした。

Q.大阪での生活は?
住み込みで働ける場所がホストしかなかったんです。住まいを確保するためとはいえ、水商売で女性を気分良くする仕事、男性が好きな自分にとっては正直、女性のいろいろなお相手をするにはキツ過ぎてたいへんでした。限界だな~って感じた時にあるお店を変えたのが人生の分岐点になりましたね。

Q.それがきっかけでNHの道へ?
大阪にあるミックスバーで、まずはゲイとして入店して多くの性別の人々に出会いました。そこで出会ったNHさん達を見て女性にしか見えなかった! というのが最初の印象で、そこからは憧れに近い感情。「こういう生き方もあるんだ」って今の人生の後押しに繋がりました。そこからは女装を始めたのですが、自分のなかでしっくりきたんです。のめり込んでからは親の許可なくホルモン注射打ったりしてましたね(笑)。

Q.でもご両親や家族は驚いたんじゃないですか?
ずっと隠していたのですがいよいよ隠しきれなくなってまずいなぁ……とは思っていても、もう後戻りできないところまで来たので勇気を出してカミングアウトしました……19歳の時でしたね。

Q.家族の反応は?
家族大パニック!(笑)。 母親に「息子が死んだみたい!」とか罵られたり暴れてました。ひどいことをしたなぁと思う反面わかってくれない家族への悲しさもありましたが、父は「お前の人生だから好きにしなさい」と言われて少し救われました。でもそこからは自分の決めた人生だから自分の全ての責任を取れ!と言われ、籍も外して一人の人間として親の元を離れることにしました。母親とはここから21歳までの2年間はバトル勃発でしたね。

Q.2年間の中での苦悩などあれば教えてください。
自分のアイデンティティです。仕事ではNHとして女装。説得に帰る時は男。自分の中での燻った思いがとうとう爆発した瞬間、「親の手の届かないところに行こう!」と決心して上京しました。22歳からは東京のショーパブで更に美しいNHの方々を身近に触れながら自身も本物の女性に向かって進む事に……今思い返すとあっという間に目まぐるしく変わった後の2年間です。

Q.22歳から現在までの2年間の変化は?
ここの2年間の大きな変化は何より肉体的なところが思いつきますね。本格的にNHの道を目指すと決めて睾丸を摘出しました。ホルモン注射の回数も毎週に増やして豊胸などを重ねるうちに女性の容姿を手に入れましたし、生まれ変わったような心の変化もこの期間に芽生えました。

Q.その後、ご両親との関係は?
理解はしてくれてるけど納得はしてないというのが現実。自己責任であれば良い……的な感じでしょうか? 私の中では未成年のタバコがしっくりきます。家の中でならOK! でも世間の目もあるし外ではよしてね……みたいな。家族の身近にいない今は良い距離感がとれてるのか、順調です。きっと実家をこの格好で出入りされるとご近所の事もあるんでしょう…私も理解してます。結局は親子、切っても切れない関係なんです。距離感さえ間違わなければ今後も良好だと思います。先日も誕生日の時、お店にバルーンを贈ってくれたんです! 感激してウキウキで実家に帰ったんですが帰ったら帰るで「化粧して外出るな!」とか怒られたり……。(笑)

Q.決して私たちのセクシュアリティは未成年の非行と同列ではないはずですが、外から見るとそうなんでしょうね……。
そうですね。でも価値観の統一は必要だと思います。私の今の生きている世界ではこれが普通。そこにいれば全然普通だけど、一般社会に出れば世間の目は冷たい。普通の人間で普通に常識もあるし、でも愛する人が世間と違うだけ。わかる人は同じ悩みを持った仲間だけなんだから、そのコミュニティの中に入るべきだと思います。

Q.これからのビジョンとかはありますか?
最初はニューハーフになりたかったけど今は違います。女性になりたい。女性として恋に落ちて今後の人生を女として生きたいです。……とここまでが願望で。でも実際はお店に出るとニューハーフを売りにして、わざと声低くしたり、営業トークしてお客様を笑わせなきゃダメだし……。本音は辛い。できるなら女として生きたい。でも世の中がそうさせてくれない。

Q.実際雇用や人権など様々な問題が、水商売以外の道を困難にさせますよね。
その通りです。私の体験談ですが、過去にニューハーフとして50社の面接を受けたのですが、その全てに落ちました。私がニューハーフってだけで更衣室をどうすれば良いのか、他の社員にどう説明すればいいのか、会社もそんな問題のない普通の女性を選びますよね? そうやっていわば門前払いをたびたび受けてきました。

Q.確立された性別でない我々は今後どうすれば良いと思いますか?
まず、私はニューハーフなのでその立場から話をさせていただきたいのですが、私は生まれた時点で大きなハンデを持って成長しなければいけません。今後頑張って性別適合手術などを受けて初めてスタートラインに立てます。女性……という「資格」を手に入れるんです。

Q.「資格」ですか?
私は性別は資格だと思ってます。それがあれば面接もしてもらえる、更衣室も女性に入れる、結婚できる……数々の女性しかできない事が出来るようになるんです。でも資格を手にして初めて女性と同じ土俵、女性はそこから何十年と積み上げた女性らしさがあって、私はそこから女性よりも何百倍も努力して追いつかなきゃいけない、追い越さなきゃいけない。そうやって死ぬ気で努力してます。だから「頑張って!」って言われるのが嫌い。私は常に100%で必死に頑張ってるから、言われるまでもなくそう生きている自負があります。

Q.最後に、これを読んでいる同じような悩みを持っている方にこれだけは伝えたい事はありますか?
今そこで悩んでる人がいるなら、私のように飛び込んでください。いつまでも悩んでいても本当に何も解決しないです。同じ悩みを抱える人や仲間ができて初めて自分がどうすればいいのか、どう生きようかが見えてきます。今の環境を壊したくない……って思っている人がいるなら、きっとそれはそんなに大した悩みじゃないんだと思います。親でもなく友達でもなく、今の環境があなたを悩ませているなら、どうしても苦しいなら、かばんひとつで田舎でもどこでも飛び出して大きな一歩を歩んでください。私の好きな歌、倖田來未の「Walk Of My Life」って曲があります。人がどう思うかではなく自分がどう生きたか……この曲の歌詞には私の一歩一歩を後押しする全てが詰まっていて、いつも元気をもらいます。あなたもそんな曲や友達や家族ができるといいですね。

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ひなのさんの内面がもっと知りたい人は彼女が日々配信しているネット番組をご覧ください。ツイキャスで配信中のお化粧講座や彼女の私生活を見る事で、より身近に彼女を感じながら彼女にしかない魅力を感じてくださいね。

ひなのさんの凜とした佇まいから発せられる力強い言葉の数々…常に他人に敷かれたレールでなく、自分でレールを作り続けている彼女だからこそ多くのファンが彼女を見ようとお店を訪れ、ネット配信を見るのでしょう。その彼女の内面、外見は紛れもなく気高き女性の美しさ。自分に決して満足しない彼女の心には常に「Walk Of My Life」が流れている……。

 

 2015/12/29 20:30    Comment  コラム   ヘス サロン              
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